みなさんのなかには、妊娠中に働くのが辛くて退職を検討している人たちもいるはずです。妊婦の体調には個人差がありますから、仕事を辞めて出産に集中することも大事な選択です。しかし、産休を取る前に辞めると悔いることもあります。
この記事では、産休を取らずに退職すると後悔することを紹介しています。また、「出産手当金はもらえないのか?」という疑問についても考察しているので、妊娠期間中の仕事について悩んでいる人たちは参考にしてみてください。
産休を取らずに退職したら後悔する4つの理由
さて、産休を取らずに退職したら後悔するのは、どうしてなのでしょうか?
一概には言えませんが、4つの視点から悔いを残す理由を説明していきます。
理由1 出産手当金がもらえずに損をした
第1に、出産手当金がもらえないことから経済的に損をして後悔する人たちがいます。
産休を取らずに退職する場合、次の要件に当てはまると出産手当金はもらえません。
出産手当金をもらえない要件
- その1 退職日までに健康保険の加入期間が1年以上継続していない。
- その2 退職日が出産手当金の支給対象期間に該当していない。
- その3 退職日の当日に引き継ぎで出勤した。
上記のいずれかに該当する場合は、出産手当金を受け取ることができなくなります。出産手当金は過去12ヶ月の給料を基準とした日給の2/3に相当する金額が支給されます。それがもらえないのですから、金銭的に損をしてしまうのです。
その2 育休を取得すればよかった
第2に、育休制度が充実していたことから取得すればよかったと後悔する人もいます。
育休は法律で定められている労働者の権利です。子どもが1歳になるまで仕事を休むことができることに加えて、育児休業給付金を受け取れます。金額の目安は以下のとおりです。
育児休業給付金で支給される金額
育児休業給付金=休業開始時の賃金日額×支給日数×67%
例えば、育休開始前の半年間で240万円(月額40万円)の賃金を得ていた場合、休業開始時の賃金日額は240万円÷180日=13,334円です。
この値を踏まえると、13,334円×30×67%=26万8,000円の給付を得られるわけです。半年後は50%に縮減されるので、受け取り金額は20万円になります。子育てしてお金をもらえるわけです。
しかし、産休前に退職した人は育児休業給付金を得ることはできません。1年間、子育てをしながらお金をもらえたはずなのにもったいないと感じるのも無理はないですよね。
その3 失業保険が適当されると思っていた
第3に、産休を取らずに退職しても失業保険をもらえると思っていたことで後悔する人もいます。
失業保険は再就職する人のために支給される制度です。すなわち、産休前に退職しても、求職活動しなければもらえないお金なわけです。
それを知らずに、失業したらもらえると勘違いしていると、後悔することになります。当てにしていた金銭が得られないのですから、経済的に困窮する危険性もあるでしょう。しかし、退職した後では取り返しがつきませんので、くれぐれも注意してください。
その4 再就職に苦労した
第4に、育児が落ち着いたのにもかかわらず、再就職に苦労したことで「辞めなければよかった」と後悔する人もいます。
とりわけ、産休前から育児が落ち着くまでには少なくとも2年程度の時間は必要です。けれども、そのブランクが仇となって、正社員として雇用してくれる企業が見つからない人もいます。即戦力となる技術を習得しているなど、企業側がメリットを感じるキャリアがないと難しいのが実情です。
また、産休前に退職していた事実を知ると、面接官が「妊娠後にまた辞めるのではないか?」というリスクを感じるおそれもあります。一度、キャリアに穴があくと、そこからの就職活動に苦労するので、辞めるときは再就職の可能性も考慮して慎重に判断しましょう。
産休だけとって退職するのは許される?
なお、後悔しないためにも産休だけとって退職するのは許されるのでしょうか?
結論から言えば、産休明けに退職しても法的な問題はありません。もちろん、職場の人たちからすれば、「復帰すると思っていたのに休暇だけ得て辞めるなんて許せない」と裏切られた気持ちになる可能性はあるかもしれません。
なかには、そのまま育休を取得する人もいますが、復帰するつもりがないのに制度を利用するのは不正と言わざるを得ません。ただ、こればかりは仕組みの使い方によってどうとでもなってしまうのが実情です。円満退社を望んでいないなら、上手に活用するという発想もあるかもしれません。
損をしないように賢く選択しよう
体調を考慮して産休前に退職するのも選択肢のひとつです。何よりも大切なことは母子の健康です。しかしながら、知らなかったがゆえに損をするのはもったいないです。特に、子育てにはお金がかかりますから、使える制度は上手に活用するのも生きる知恵と言えます。
また、職場の理解を得たうえで産休や育休を取得して雇用を継続すれば、世帯年収を維持できるしょう。パートナーにもまた家庭の経済事情に関する考え方があるはずなので、よく相談して自分たちにとっての仕事と家庭のバランスを検討してみてください。